脳が全て?

前頭葉の話は「高齢者介護」の研修にも詳しく出てきます。「高齢者の心理・老化」について学ぶからです。

脳は老化でなくても、先天性の脳機能障害や、事故や病気などにより、脳の機能が侵されると、老化で前頭葉が委縮した高齢者と同じような症状が現れます。ストレスや抗精神薬などで、前頭葉がうまく働くなったり、障害が起こっても同じです。

「高齢者の心理・老化」を学んでいると、つくづく、脳が全てだなぁと思います。なぜなら、全てが脳への信号と指令で成り立っているからです。

例えば、物理的に、目に何の障害もなく、映像が映っていても、脳にその信号が届かなければ、見えません。

ウンチが肛門まで近づいていても、物理的にそこにウンチがあっても、脳にその信号が行かなければ、便意を感じないし、身体は便を押し出そうともしない。

ある認知症の夫人は、まるで狐にでも憑りつかれているかのような、信じがたい体の動きをしていたそうです。

ふっと目を離したその瞬間に、タンスの上のわずかなスペースに正座して座っていたとか、鍵をかけている屋上の端っこに立っていたそうです(手すりを伝って、信じがたいスピードで上ったらしい)。

火事場のバカちから

認知症は、判断力が落ち、脳の信号も正常に届かなくなった状態です。通常なら、“そんなことをすると危ない・危険”、“そんなことをする必要がない”、“今のこの体の状態で、それをすると体が壊れる”等、脳が判断してコントロールして行動を抑えますが、そんな自制が効かなくなると、発作的に、このような神がかりな身体能力を発揮する、いえ、身体は、脳の指令通り、自分を犠牲にしてまで力を発揮してくれるといういい例でしょう。「火事場のバカちから」もそれでしょう。ずっとそれをやり続ければ、確実に、肉体に負担がかかり、壊れてしまうから、普段は制御されていて、最大限パワーは発揮できないようにしている。

なお、これまでの歴史で、今から考えると、恐ろしいことをしていた歴史が、“治療”に多くあります。試行錯誤・実験を繰り返して、やっと今の安全な医療にたどり着いたのが現代医療と言えますが、今でも試行錯誤・実験は続いていますよね。。

さて、その中で、精神疾患を治すための治療として、ロボトミーという手術がありました。恐ろしい手術なので、今では行われていません。