とても素晴らしい内容なのに、邦題のタイトルがひどすぎて、この本にたどり着ける人が少ないだろうと、色んな所で言われている書籍です。

無意識に自分の食を操られている状態を、様々な実験でデータを集め、研究している専門家の書いた本です。

原題は「Mildless Eating」 - 心のない食 です。 邦題は「そのひとクチがブタのもと」。

このタイトルだと、ダイエットがなかなかうまくいかない人、食に対するトラブルや問題がある人しか手に取らないでしょうし、そうでない人は、スルーするでしょう。

しかし、この本を通して見えてくることは、食だけでなく、私たち全ての行動や、心の動きも、知らず知らずのうちに、ほんのちょっと目に入ったこと、ちょっとした言葉がけや環境設定で、影響され、洗脳されているということです。

なかなか成功しない、うまくいかない、人間関係がうまくいかない etc.も、たぶん、ちょっとした、目に入るもの、その場の環境、人の言い方や態度にコントロールされていると気づくと共に、人間が、個人個人で分断されている訳ではなく、無意識のうちに、お互い影響しあって存在してることを知ることができます。そのさまは、あたかも、身体の細胞の一つ一つが、それ一つで独立して好き勝手して生きている訳ではなく、ネットワークで全て繋がっているのと似ているかもしれません。

また、その影響に気が付き、自らの行動や心を修正するための、いい気づきや材料になります。蛇足ですが、そこにフラワーエッセンスをズバッとつかうと、どんどん、そういった無意識の洗脳や刷り込みから解放されていきます。

この本は、“意識しないうちに、何かに操作されたり、環境に影響されて、お腹が空いていないのに食べている”ことをテーマに書かれているので、食ばかりがでてきますが、食に問題やトラブルがない人は、どうぞ、他のことに置き換えてお読みください。そうすれば、身が引き締まるほどの内容だと気づけると思います。

なお、広告・宣伝を生業とする会社や人々は、こういうことは、ご存知です。その上で、CMや宣伝をしています。言ってしまえば、心理操作のための要素を、絶妙にちりばめているので、CMをみせるだけ、聞かせるだけ、広告を見せるだけで、洗脳できるように作っていると言っても過言ではないでしょう。 

フラワーエッセンスのセッションで、常に出てくるのは「意識的に生きること」。日々の習慣や思考クセで、何も考えずに動くのは、夢遊病者のようなものです。 いつも右の道を行くのはそれ。でも、道の分かれ目で一旦立ち止まって、自分の心に聞いてみるのが「意識的に生きること」。脳はよく分かっている安全な道を自動的に選びます。それは、身体に染みついています。日頃、心の動きを大切にしていないと、夢遊病者のように、普段の習慣を無機質に、機械的に、続けるだけです。

「意識的に生きること」とは、心の動きを自分できちんと感じて、受け止めること。 道の分かれ道で、心は、“左の道にいる犬を撫でたい。あの犬はとてもかわいくて、とても癒される” と訴えているかもしれません。しかし、日頃、人生には楽しいことなんてないと絶望して生きることに慣れ切ってしまうと、そんな心の動きにも気づかないところか、夢遊病者のように、日々の習慣と思考のクセを続けるだけのロボットになってしまい、そして、そういう人は、見事に、心理操作をこめられたCMや宣伝、広告にアッサリ洗脳され、コントロールされます。

さて、前置きは、このへんにして、この本の中で行われた実験をいくつかご紹介しましょう。

・古いポップコーンともろい意志

映画のチケットを買った全員(その多くは昼食を食べたばかり)に、ソフトドリンクとMサイズ、または、自分の頭より大きいLサイズのポップコーンが無料で配られる。

そのポップコーンは、作り立てでなく、5日前に作られたもので、とても湿気たもの。ある観客は、「まるでピーナツの詰まった発砲スチロールのようだ」と言ったほど、しけて硬くなっていた。無料でもらったことを忘れ、返金を要求した客もいた。

そんなにマズイポップコーンなのに、観客たちは、映画上映中、数分して2,3口食べるという行為を繰り返した。 上映後、食べ残したポップコーンの量を計測。

Lサイズを受け取った人のほうが、Mサイズを受け取ったひとよりもたくさんポップコーンを食べていた。Lサイズをもらった人に、「あなたはLサイズをもらったから、よけいに食べたと思いますか?」と聞くと、大半の人が異議をとなえた。「わたしにはありえない」「そんなことでごまかされたりするものか」「お腹がいっぱいの時はちゃんと分かります」など。

実際のところ、Mサイズももらった人よりも、Lサイズをもらった人は、Mサイズの人よりも、平均して53パーセント多く食べた。

たくさんもらえばたくさん食べるのである。製造から5日もたった、湿気たマズイポップコーンなのに!

・実験用に作られたおしゃれなレストランで、無料の料理をふるい、その時々で、実験したいテーマを観察する

1.英語のメニューを渡されるテーブルと、フランス語っぽい名前がならんだメニューを渡されるテーブルでは、どちらがよく食べるだろうか?

2.上質でない2ドルの安い赤ワインのラベルをきれいにはがし、プロがデザインした100%偽物のラベルに張り替え、カリフォルニアの新興醸造所<ノアズ・ワイナリー>という架空の会社のワインとして配った。ラベルには古典的なロゴ、誇らしげなうたい文句が印刷されている。客が帰った後、グラスに残ったワインと皿に残った分量を計測し、さらに、客が食事をはじめた時刻、支払いをして帰った時刻を記録。

店の右側の客にだけ、ウェイターやウェイトレスが赤ワインについて説明する時、「ノアズ・ワイナリーというノースダゴタ州の新しいワイナリー」のものだと紹介した。右側の客のワインのラベルにだけ、“ノースダコタの新星”と入っていた。

ちなみに、これらは全てウソ。

ノースダゴタワインを飲んでいると思い込んだ人の期待感は非常に低くなり、ワインはまずいし、しかも、料理までおいしくないと評価した。

どちらのテーブルも、ワインは全て飲んでいたが、食べた食事の量と、テーブルについていた時間が大幅に違った。

・事務所に、無料でお菓子を配る

テーブルの上にひと箱ずつ置いた時と、テーブルを離れてとりにいく形にした時のお菓子を食べた量を測る

・底なしスープボール

昼食にスープを出されたら、いつ飲むのをやめようとするか?

お腹がいっぱいになったときや空腹が満たされたときにやめると答えたのは、わずか19パーセント。ほとんどが、「ボウルが空になったらやめる」「ボウル半分だけ飲む」と答えた。

飲んでも飲んでも、こっそりとスープがボウルを満たす仕組みを作り、どのくらいのスープを飲むか計測。ボウルの容量は530cc。

通常のボウルを出された人は、平均して、約266cc飲んだ。補充チューブをこっそりつけられたボウルを出された生徒は、平均で約440cc飲んだが、1リットル以上飲んだ人もいた。飲み始めて20分後にストップをかけた時も、彼らのほとんどは、まだ飲み続けていた。そして、底なしボウルのせいで、たくさん飲んだと気づいた人はいたか? 皆無だった。

・大箱の食品を渡す

Mサイズを受け取った人よりも、大箱で受け取った人のようが、平均して23パーセント多く食べた。

M&Mを一袋渡し、ビデオ鑑賞をしてもらう。 220グラム入りと450グラム入りを渡す人を分ける。230グラムをもらった人は、平均71粒を食べ、450グラム入りをもらった人は、約2倍にあたる137粒を食べた。

・ブッフェ方式での実験

3種類の味のヨーグルトを出された人は、1種類しか出されなかった人よりも、平均23パーセント多く食べた

・ゆったりした音楽と、テンポの速い音楽を流したら

ゆったりした心地よい音楽が流れている時、客は約11分長く(計56分)店に長くとどまり、料理にかける費用は変わらなかったが、飲み物に平均30ドル以上を費やした。テンポの速い音楽を流した時のグループが使った平均21ドル62セントを大きく上回った。テーブル当たりの飲み物の収入が41パーセント伸びた。

・ニオイ

普通のオートミールと、おいしそうなシナモンとレーズンの匂いが加わったオートミール、オートミールと合わないニオイーマカロニとチーズーの匂いが加わったオートミールで実験。

・表現力豊かなメニューと、味気ないメニュー

値段も中身も全く同じなのに、表現力豊かなメニュー(凝った名前の料理名)のほうが、27パーセント多く売れた。

・親しみやすい大人が子どもに与えるのと、よそよそしい大人が与えた時とでは、前者のほうがずっと早く子どもが新しい食べ物を好きになる

・一緒に食べる人がいると、食が進む。一人だと小食になる。ただ、相手が誰であってもそうなる訳ではなく、相手が商談相手なら、食が減るし、デートの時は男性は増えるが、女性は減る傾向がある。男性はよく食べるほうがかっこいい、女性は小食のほうが女性らしいというジェンダーの考え方によると思われる。

いかがでしょうか(^^)

根性で必死に我慢するダイエットが、ほぼうまくいかないのは、無意識に、色々操作されているからです。単純に、目に見えないところに置く、すぐに届くところに食べ物を置かない、おいしそうなにおいのする道は避けるなど、習慣を変えるほうが早い。

ダイエットだけでなく、他のことでも同じです。それだけ、人間は、他と影響しあって生きているから、自動的に反応してしまう動物的な本能で操られている動物であることを自覚して、それが影響されないように、人間の知恵で避けること。洗脳されるところにはいかない、見ないこと。

本人は、影響されていないと信じ切っているけれど、それはほとんど不可能だということです。影響されないように、そういう場面や場所、匂いや音、目に入ることを避けるほうが簡単です。 ストレスを抱えているのに、我慢してそこにいるより、ストレス元が目に入らないようにするなど。目に入ってる状況で根性で頑張って、どうにかできるほど、きっとあなたは、根性ないです(笑)。